ブログ|伊勢原市の歯医者【近藤歯科医院】

介護を必要とする方の口腔ケア

2024.08.02(金)

伊勢原市の近藤歯科医院・歯科衛生士の佐々木です。

先日、私が定期検診を担当した患者さまより、ご主人さまの口腔ケアについてご相談を受けました。

開院当初よりご夫婦で通ってくださっていたのですが、ご主人さまの持病が悪化し現在はご来院が難しくなってしまいました。

奥さまがご自宅で歯磨き等も行っていらっしゃるとのことで、口腔ケアのコツについてお尋ねいただいたという経緯です。

 

お身体にご不自由がある方の口腔ケアは、本当にケースバイケースなのですが、今回は一般的なケア方法をご紹介いたします。

 

[口腔ケアの必要性]

自分で歯磨きがうまくできなくなってくると、沢山の汚れがお口に溜まり、誤嚥性肺炎や口腔カンジダ症などを発症するリスクが高くなります

(※)誤嚥性肺炎・・・飲み込む力や咳をする力の低下により、お口の中の食べかすや細菌が誤って気管に入ってしまうことで起こる肺炎

(※)口腔ガンジダ症・・・お口の中に常在するガンジダ菌が、免疫力の低下等により増殖し、痛みや出血を生じる

 

また口臭が気になるために外出を避け、引きこもりがちになってしまうこともあります。

ケアする方が全ての汚れを落とすことは難しいですが、大きい汚れだけでも毎日欠かさず取ることでそれらの疾病を予防することができます。

 

[ポイント① 姿勢を整える]

まず口腔ケアを行う前に適した姿勢にします。

寝たきり状態の方は、ベッド上部を80~90度起こします。体勢が不安定にならないように体の両側と膝下にタオル等を置いて安定させます。

なお、このように座った状態を保てているとお口の中を正面から見ることができ、誤嚥も防げますが、あくまでご本人に無理のない安全な姿勢で行ってください。

 

[ポイント② 口腔ケア用具]

口腔ケアの用具は大きく分けて「粘膜用」「歯用」の2種類があります。

粘膜用:スポンジ/粘膜用ブラシ/くるくるブラシ/ガーゼつき手袋等。

これは粘膜を傷づけにくいように柔らかい素材でつくられています。しかし毛にコシが無いため、歯に付着した歯垢を取ることには適していません。

 

歯用: 歯ブラシ/歯間ブラシ/ワンタフトブラシ/デンタルフロス等。

これらは歯に付着した汚れを落とすものです。粘膜用に比べて毛が硬いため、粘膜に使用すると傷をつけてしまいます。

 

[ケア用具の効果的な使い方]

粘膜に使用するものは水やデンタルリンスなどで湿らせてから使用します。服用しているお薬や全身疾患の影響で口腔内が乾いているケースが多いためです。

乾いた口腔粘膜に無理やり用具を擦りつけると痛みを生じてしまいます。

また汚れが硬くへばりついている場合は口腔湿潤液を使用し、汚れをふやかしてから除去をすると良いです。

 

・粘膜用ケア用具は奥歯→前歯、舌の根→舌先の順に動かしてください。

口の奥側から手前側に動かすことで、汚れの誤嚥を防ぐためです。

 

歯ぐきに炎症がある場合は、歯ブラシに歯周病予防のマウスウォッシュを使用すると効果的です。

 

最後に…

口腔ケアを行う際には、まずご本人のご希望を伺ってください。

そしてご本人ができることはできるだけご本人にしていただいてください。

それが能力の維持につながりますし、ご本人の負担にならないことを考えることがとても大切です。

お読みいただいた方の何かお役に立てましたら幸いです。

当院には介護口腔ケア推進士の資格を持つ歯科衛生士も在籍しておりますので、ご不明な点はご遠慮なくお尋ねください。

 

執筆:伊勢原市 近藤歯科医院 歯科衛生士  佐々木

監修:伊勢原市 近藤歯科医院 院長 近藤

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