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歯周病菌が全身に拡散する3つのルート
2020.11.18(水)
歯科医療から全身の健康維持を目指す近藤歯科医院です。
当院が開院当初から患者さまにお伝えしている「口腔内環境が全身に与える影響」。
実際にどのように影響を及ぼすのか、
口腔内細菌が全身に拡散する3つのルート
についてご説明致します。
<ルート①:血管>
歯周病は歯周病菌が歯茎を破壊して血管に侵入する細菌感染症です。
細菌は歯周組織から毛細血管を通り、最初に心臓に到達します。そして心臓を起点にして大動脈から全身の臓器にばらまかれます。
そのため、歯周病菌は頭の先から手足の先まで影響を及ぼします。
↓
・脳に達するため、認知症やうつ病、精神疾患に関連しています。
・手足の血管が閉塞するバージャー病発症リスクを上げます。
・動脈硬化や心筋梗塞、がん、早産、高血圧、糖尿病…と様々な全身症状と関連性があります。
<ルート②:唾液>
成人は1日に1.5ℓ〜2ℓの唾液を飲み込んでいます。
飲み込んだ唾液の中に含まれる歯周病菌は大腸に達するため、腸内フローラのバランスを悪化させます。
↓
・腸内フローラの変化は、自閉症や肥満、アレルギー、糖尿病等様々な疾患との関連性が明らかになっています。
・大腸癌等、腸の疾患の発症リスクが上がります。
<ルート3:誤嚥>
3つ目は唾液と一緒に菌を肺に吸い込んでしまうルートです。
嚥下機能が低下していると、口から食道に入るべき細菌を含んだ唾液が気道に入りこむことがあります。
この誤嚥により肺の中で細菌が増殖します。
↓
肺炎につながる恐れがあります。(誤嚥性肺炎)
上記のように3つのルートで全身に影響を与える口腔内環境。
当院の患者さまでも、「口腔内の状態」が改善したことで、「口腔内以外」の症状が大きく改善したという方が何人もいらっしゃいます。
個人情報が特定されるような詳細な内容は公開できませんが、最近いただきました患者さまの嬉しいお声を2つご紹介致します。
<長年掌蹠膿疱症に悩まされていた70代男性>
当該患者さまは、長年掌を中心とする肌荒れ・発疹に悩み皮膚科に通院していらっしゃいました。当院で治療を終えたお嬢さまからのご紹介でご来院。当院での定期的な歯のクリーニングと自宅での歯磨き習慣により、短期間で症状が劇的に改善しました。
<認知症が進んでいた女性>
この患者さまは毎回ご主人さまが付き添いでご来院されています。抜歯が必要なケースでしたが、ご主人さまサポートのもと、順調に歯の治療を進めることができました。
ご主人さまによると。毎日通っている福祉施設の職員の方から「最近奥様が明るくなりましたが何か変化がありましたか?」と尋ねられたそうです。また、「歯の治療に通っているからかもしれない」とお答えすると、「口臭が無くなりましたよ」ともおっしゃられたとのこと。
院長・スタッフ共に上記のような患者さまのお声を聞くことが嬉しく、たくさんの患者さまに治療のご希望をいただき忙しい毎日でも頑張れてしまいます!
当院の取り組みが、これからも患者さまの健康維持の一助となりましたら幸いです。
ご不安なことやご質問等がございましたら、ご遠慮なくご相談ください。
伊勢原市の歯医者 近藤歯科医院
歯科医師 近藤 淳
口腔ケアでインフルエンザ予防
2019.01.16(水)
「歯科医療から身体の健康を実現する」近藤歯科医院です。
今月9日、厚生労働省はインフルエンザ患者数が「注意報レベルを超えた」と発表しました。
感染防止のために予防接種を受けたり、マスクをしたり、手洗いをしたり、と対策をしていらっしゃる方も多いことと思います。
口腔ケアもインフルエンザ予防に効果的であるという研究結果があります。
※「口腔ケアによる気道感染予防の実施方法と有効性の評価に関する研究事業報告書」(社会保険研究所刊)
その研究概要は
・デイケアに通う65歳以上の高齢者をAグループ(98名)、Bグループ(92名)の2つのグループに分ける
・Aグループは歯科衛生士が口腔内のプロケアを週に1回・6ヶ月間に渡り実施
・Bグループはこれまで通りセルフケアを実施
その結果、インフルエンザ発症者は歯科衛生士がプロケアを行っていたAグループで1名、セルフケアを行っていたBグループでは9名だったというものです。
通常、気道の粘膜は蛋白質に覆われていて、インフルエンザのウィルスが簡単に付着しないようになっています。
ところがその蛋白質が破壊された状態でウィルスが口腔内に入ってくると、ウィルスが気道の粘膜に付着して大増殖します。
この気道の粘膜を守っている蛋白質を破壊するのが、歯垢・歯石・舌苔などから発生する酵素であると言われています。
この調査のポイントは「専門知識を持った歯科衛生士が高齢者の歯垢や歯石を徹底的に除去した」ことです。
ただ漠然と歯磨きをしただけでは口腔内の細菌は減少せず、インフルエンザの予防効果は高まりません。
歯科医院では、日常の歯磨きでは取れない汚れもハンドスケーラーや超音波スケーラーで取り除き、確実に細菌を減少させることが可能です。
歯磨きの方法や歯間ブラシ、デンタルフロスの使用方法についてのアドバイスも行っております。
長期間歯医者に行っていない…という方は身体の健康維持のため、そして一生涯歯を残すためにも、この機会に歯科の受診をおすすめ致します。
伊勢原市の歯医者 近藤歯科医院
歯科医師 近藤 淳
歯周病と高血圧
2019.01.04(金)
「歯科医療から身体の健康を実現する」近藤歯科医院です。
今回は「歯周病があると高血圧患者の血圧コントロールに悪影響を与える」ことに触れた論文をご紹介致します。
(原著論文:Davide Pietropaoli/2018 Oct 22/Hypertention)
イタリア・ウクイラ大学の口腔外科医、ピエトロパオリ氏が高血圧患者3600人以上の医療記録と歯科治療の記録を分析したところ、
歯周病がある高血圧患者は、歯周病の無い高血圧患者に比べて収縮期血圧(上の血圧)が2.3〜3.0mmHg高いことが分かりました。
また歯周病があると降圧薬が効きにくく、血圧が目標値まで下がる確率が20%下がることも明らかになりました。
口腔衛生が健康全般にとって重要な要素であることはこれまでも度々言及されてきたことですが、ピエトロパオリ氏も「内科医は高血圧患者に歯周病の兆候が見られたら積極的に歯科治療を進める必要がある。適切な口腔ケアは減塩や運動、体重管理等の血圧コントロールと同程度に重要だ」と述べています。
高血圧は未治療のまま放置すると動脈がもろくなり、脳内出血や脳梗塞、狭心症や心筋梗塞に至る可能性もあるため、適切な治療を行うことが大変重要です。
高血圧治療を行なっている方で歯肉の赤みや腫れ、歯磨きの際の出血といった歯周病のサインが見られる場合は、歯科医院での「プロケア」を強く推奨致します。
ご不安な症状等がございましたらご遠慮なくお問いあわせください。
伊勢原市の歯医者 近藤歯科医院
歯科医師 近藤 淳